気象予報士試験ワンポイント知識
参考書と並行読んでいただけたら、効果があがるかも。
7.大規模な流れ(参考:気象予報士試験 徹底攻略テキスト
)
・エネルギーの流れ
緯度別にみると、太陽から地球が吸収するエネルギーと、
地球から宇宙空間に放射するエネルギーとは
釣り合いが取れていない。
低緯度では、受け取るエネルギーが多く過剰であり、
一方高緯度では、放出するエネルギーが多く、
不足となっている。
つまり、この過剰と不足を補うために、
低緯度から高緯度(北半球では、南から北)への
エネルギーの輸送が行われている。
これをエネルギーの流れという。
エネルギーを輸送を担っているのは、低緯度では主に海流、
高緯度では風。
・地表面付近の流れ
地表面付近の流れは、以下の3種類に大別される。
貿易風:赤道から南北緯度30度の間の東よりの風
偏西風:30度から60度の間の西よりの風(日本はこの中)
極偏東風:60度から極にかけての東よりの風
・地表面付近の流れ(その2)
上記の特徴的な風の帯の境界では、特徴ある気候帯が形成されている。
熱帯収束帯:赤道付近。収束のため上昇気流が発生し、雲ができやすい。
亜熱帯高圧帯:30度付近。下降気流があり、高気圧が発生。
乾燥がちな気候となり、砂漠等が存在する。
亜寒帯低圧帯:60度付近。大規模な低圧な地域を形成する。
・子午線循環
大気を南北方向(経度線=子午線)の断面に見た場合の風の流れ
ハドレー循環:赤道付近で上昇し、30度付近で下降(直接循環)
フェレル循環:30度付近で下降し、60度付近で上昇(間接循環)
極循環:60度付近で上昇し、極部で下降流(直接循環)
・南北方向の熱の輸送
低緯度部では、直接循環なハドレー循環で熱を北に輸送。
中緯度部では、低気圧の西側で冷たい空気が南下し、東側で暖かい空気が
北上することにより、熱を北に輸送している。
・南北方向の水蒸気の輸送
南北方向の降雨量と蒸発量の特徴は以下のとおり。
・赤道付近で最大、かつ40度付近に極大値を持つ。
・30度付近の亜熱帯高圧帯では、降雨量より蒸発量が多い。
よって、亜熱帯高圧帯で過剰となった水蒸気は、熱帯収束帯と、中緯度部に
それぞれ輸送され、その地域での降雨の源となっている。
・プラネタリー波
地球を一周する間に2から3回波打つ波。
波長が10,000km以上。
大規模な山脈や海洋と陸との温度差などによって発生している。
また、ほとんど動かない停滞性の波。
南半球ではほとんど発生しない。
・気圧の谷、気圧の尾根
気圧の谷:気圧の高い方に張り出した部分
気圧の尾根:気圧の低い方に張り出した部分
・温帯低気圧
日本のある中緯度付近に発生する低気圧。
温帯低気圧は前線を伴うことが特徴。
温帯低気圧は、北側の寒気が南下・下降、南側の暖気が北上・上昇することで、
エネルギーを北に輸送している。
また、低気圧の中心は上層ほど北に傾いていることも特徴の一つ。
・傾圧不安定
ある等圧面上で、高度線と等温線が交差している大気を傾圧大気という。
この場合、気圧の谷の東側で暖気が北上、西側で寒気が南下する。
低気圧が発生・発達する。
・低気圧のエネルギー源
温帯低気圧では、上空の寒気が南下しながら下降している。一方、暖気が北上しながら、
上昇している。
つまり、位置エネルギーがエネルギー源であり、それが運動エネルギーになることで、
大気に風が生み出される。