気象予報士試験ワンポイント知識
参考書と並行読んでいただけたら、効果があがるかも。
6.大気の力学(参考:気象予報士試験 徹底攻略テキスト
)
・大気に働く力
まずは、大気の力学で扱う力を列挙しておきます。
・気圧傾度力
・コリオリ力
・遠心力
・摩擦力
この4つの力を抑えれば、大気で起こる基本的な風のことを
理解することができます。
・気圧傾度力
一般によく見る天気図(気圧配置図)は、地表面の
気圧の様子を表しています。
天気図には等圧線が引かれていますが、これは、
地表面の気圧が一様でなく、場所により気圧に差が
あるということです。
気圧に差があると、気圧が高いほうから低い方へと力が
働く。それが、気圧傾度力です。
気圧傾度力は、式のとおり、気圧差が大きいほど大きく
なります。厳密には気圧の傾き具合です。
・コリオリ力
地球が回転していることによって起こるみかけの力。
要は、北半球で動く物体には、右方向に曲げようとする
力が働くってことです。その大きさは、速度に比例する。
もう一点、赤道付近(低緯度)では、コリオリ力は小さく、
高緯度ほど、大きくなります。
どうして、コリオリ力が発生するのか、一般気象学を
読み込んで、さらに頭の中で繰り返し考えてみてください。
いいトレーニングになります。
・遠心力
曲がった経路を吹く風において、外側に向かう力。
半径の小さく、風力が強いときに影響がよく現れます。
・摩擦力
風は空気の動きです。空気と地面との間でも摩擦が
働きます。それが、摩擦力です。
摩擦力は、空気の移動する反対の方向、つまり、
風と反対の向きに働きます。
・地衡風
気圧傾度力とコリオリ力がつりあった状態の風。
地衡風は、等圧線に平行に吹く。
高気圧を右手に見ながら吹きます(北半球の場合)
・傾度風
気圧傾度力とコリオリ力に加えて遠心力がつりあった状態の風。
等圧線が曲がっていて、風が曲率をもって吹くような場合。
高気圧では、傾度風は弱め。低気圧では、強めになります。
・地表付近の風
地表付近では、建物・樹木・小地形などの凸凹で、風に摩擦力が
加わります。このため、4つの力がつりあうような風が吹きます。
摩擦力が加わった結果、風は、高圧部から低圧部に向かう成分を
持ちます。
海上と地上では、地上の方が表面の凸凹があるので、摩擦が大きく
なり、地上では海上よりも低圧に向かう角度が大きくなります。
・大気境界層
摩擦力の影響がある範囲。
地上から1000m程度の高度までの層。
・収束と発散
大気の流れを観ているとと、ある一箇所に集まるように流れたり、
あるところから外側に向かって流れたりしていることが分かります。
他にも、あるところを境に、反対向きに流れたりしています。
そのような状態を扱うために、収束や発散という考え方を用います。
「収束」:ある一点に大気が集まっている状態。または、前方ほど、
風速が落ちているような状態(渋滞しているような感じ)
「発散」:ある一点から大気が散っている状態。または、前方ほど、
風速が早いような状態。
・渦度
高気圧や低気圧など、大気の現象は渦のように回転している状態が多い。
その回転の速さを表す量。
回転が速いほど渦度が大きくなる。
渦度は、方向があり、反時計回りを正とする。
だから、北半球では、低気圧は正の渦度を持つ。
・相対渦度と絶対渦度
相対渦度とは、地表面に対して相対的に見た渦の渦度。
絶対渦度とは、宇宙空間に対しての渦度で、相対渦度と惑星渦度との和。
惑星渦度とは、地球の自転による回転を表し、緯度に依存する。2Ωsinφ。
・運動のスケール
つむじ風などの小さい現象から、低気圧・高気圧などの大きい現象まで、
地球上での現象には、水平方向のスケールと時間的スケールには関連があること。
つまり、規模の小さい現象の起こる時間は短く、大きい減少では、その時間も長いことをさす。