気象予報士試験ワンポイント知識

参考書と並行読んでいただけたら、効果があがるかも。

5.大気の放射(参考:気象予報士試験 徹底攻略テキスト

・黒体放射

黒体とは:入射するすべての波長の放射を100%吸収する仮想の物体。
地球や太陽は近似的に黒体。
黒体から放射されるエネルギーは、温度によって決まる。
そのエネルギーは絶対温度の4乗に比例(=σT^4)する。

・太陽放射

太陽は黒体に近似して考えることができる。
表面温度は約6000K
太陽放射のエネルギーの44%は可視光の範囲にある。       
可視光は0.4〜0.8μmの波長の光。

・南中高度

太陽の高度によって、地表面が受ける太陽放射の量が変わる。
太陽が高く上がるほど、太陽放射を多く受ける。あわせて、
日照時間も長くなり、気温が高くなる。       

・日射

直達日射量:太陽から直接地表面に達する日射量。
散乱日射量:エアロゾルなどに散乱されて、間接的に地表面に達する日射量。
これらを合わせて、全天日射量という。       

・地球放射

地球もエネルギーを放射している。
太陽より温度の低い地球の放射は、赤外線領域。
物体から出る電磁波の波長は、温度に逆比例するから。       

・大気の電磁波吸収

1.0.3μm以下の波長の電磁波
成層圏や熱圏にあるオゾンや酸素分子によって吸収される。
  2.波長の長い地球放射
水蒸気や二酸化炭素によって吸収される。       
温室効果に主要な役割を果たしている。

・大気の窓領域

約8〜12μmの電磁波は大気中でほとんど吸収されない。
ただし、雲粒はこの領域の地球放射を吸収する性質がある。

・散乱

電磁波や光が、物質に衝突して進路が変更されること。
1.レイリー散乱
空気分子のような小さい粒子に衝突した際の散乱。
波長の四乗に反比例する。
よって、赤い光と青い光では、青い光の方が、強く散乱される。
2.ミー散乱
波長と、散乱する分子の大きさが近い場合。
散乱の強さは波長によらないことが特徴。
雲や大気が白く見えるのは、ミー散乱による。
3.幾何学的散乱
衝突する物質が大きいと、幾何学的に散乱します。

・アルベド

反射率のこと。
地球のアルベドは30%。入ってきた電磁波の3割が反射されてしまいます。
白いほど、アルベドは大きい。雲や雪は大きくなります。
海のアルベドは10%以下ということは覚えておきましょう!

・放射平衡

入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーが等しいこと
そんな状態の温度を、放射平衡温度という。
大気がないとした場合の地球の放射平衡温度は−18℃(=255K)
地球の平均気温は15℃なので、その差が温室効果による!

・太陽放射の収支

太陽放射の収支を把握しましょう!(教科書の図を参照してください)
要点は、入射の30%が大気や地表面の反射、散乱で出て行きます。
つまり、アルベドが30%ってこと。
      残りの50%が地表で吸収されて、20%は大気や雲に吸収されます。

・地球放射の収支

太陽放射の70%を、地球は放射してます。だから収支が成り立つ。
複雑なのは、地表面は放射が少なくて、加熱気味で、
大気は、放射が多くて、冷却気味。
その差を埋めるのが、大気が攪拌される顕熱、水蒸気による潜熱の輸送。