気象予報士試験ワンポイント知識
参考書と並行読んでいただけたら、効果があがるかも。
3.大気の熱力学(参考:気象予報士試験 徹底攻略テキスト
)
・気圧
気圧とは気体が単位面積(1m2)をどれくらいの力で押しているかを表す。
もしくは「その場所より上にある空気の重さ」
だから、高度が上がるほど、気圧は小さくなる。
単位はPa=N/m2=kg/s・s/m2(単位はMKS系に変換できるようにしましょう)
・密度と温度
密度は、単位体積の重さです。単位はkg/m3。
絶対温度:普通の温度+273(℃)
ただ、273を足すだけです。怖くないですよ!
・熱量
厳密な定義は難しいので、「熱を持ってる物体のエネルギー」という程度にでも理解してください。
単位はJ(ジュール)
かつては、cal(カロリー)でした。ちなみに、1cal=4.186J。
1calは1gの水を1℃温めるのに必要な熱量(エネルギー)です。
気象学では、「ある物体の温度を変化させるのに必要なエネルギー」という理解で大丈夫です。
・気体の状態方程式
PV=nRTを呪文のように繰り返して覚えてしまってください。
簡単に言えば、気体はP(圧力)、V(体積)、T(温度)のうち二つが分かれば、
残り一つが、この式から自ずと分かります。
つまり、圧力が1000hPaで、温度が300K(=27℃)の気体の体積は何リットル?
ということが分かるということです。
・静力学平衡
Δp=−ρgΔz
大気中で水平で高さの違う2つの面について考えます。
その二つの面の気圧の差と高さの差の関係を表しています。
つまり、高い方の面程、気圧が低いということを表しています。当然ですよね!
あと、−(マイナス)記号をわすれないように。
・潜熱と顕熱
潜熱:相変化(例:液体の水から水蒸気)に関する熱
〜イメージでは〜
「水蒸気が液体になるとき、水蒸気の中に潜んでいた熱が出てくるような・・・」
顕熱:温度が変化する熱
〜イメージでは〜
「熱いお湯が冷めるときに今まであった熱失われていくような・・・」
・飽和と飽和水蒸気圧
例えば、コップの中の水は人間の目で見るとぜんぜん変化してないですよね。
でも、ミクロの世界では、絶えず水面で、水の分子のやり取りが行われています。
その証拠に、乾燥したところにコップを置いておくと、数日も置いておいたら、
空っぽになってしまってますよね。
でも、コップを密閉した小さな箱に置いておくと、空っぽにはなりません(厳密な表現ではありませんが・・・)
それは、小さな箱の空気が飽和してしまってるためなんです。
空気が飽和してるってことは、それ以上水が溶け込まない状態を言います。
そのときの水蒸気圧(水の分圧)を飽和水蒸気といいます。
で、大事なのは「飽和水蒸気圧は気温が高くなると急激に高くなる」というポイントです。
〜イメージでは〜
「熱い空気の方が、いっぱい水蒸気が溶け込みそう」って感じです。
・混合比と比湿
どちらも湿り具合を示します。
混合比:(水蒸気の質量)/(乾燥空気の質量)
単位:g/kg
(ポイント)
混合比と比湿はほぼ同じ大きさ。
ほかの空気と混ざるか、水蒸気の供給・除去がなければ変わらない
つまり、空気塊(ある空気のかたまり)の動きを追うために便利!
・露点温度と湿数
露点温度:空気中の水蒸気が飽和する温度。これ以上空気に水蒸気が溶け込めない温度。
湿数:気温−露点温度
湿数が小さいほど、空気が湿っていることを示す。
高層天気図では、湿数が3℃以下の領域が示されていたりします。(湿った領域を表す)
・熱力学の第一法則
空気に熱を加えると、膨張(仕事をする)と温度の上昇(内部エネルギーの増加)に
使われることを示す法則。
・乾燥断熱減率
乾燥した空気(=飽和していない空気)が上昇・下降したときの温度の変化。
1km上昇すると約10℃下がる。
大気の温度減率は6.5℃/kmなので、乾燥した空気が上昇すると、早く温度が下がることがわかる。
・湿潤断熱減率
湿った空気(=飽和した空気)が上昇・下降したときの温度の変化。
1km上昇すると約5℃下がる。
大気の温度減率は6.5℃/kmなので、湿った空気が上昇しても、温度変化が小さい。
潜熱が放出されて、温まるから。
・温位
乾燥した空気が断熱変化するときに保存される量。
ふつう1000hPaのところまで移動させたときの温度。
一般的に、大気は上層ほど、温位は大きい。
安定度の指標に使える。
・相当温位
湿った空気(飽和した空気)が断熱変化に保存される量。
温位にさらに空気中の水蒸気が液体の水に変わるときの
潜熱を加えるので、必ず温位≦相当温位。
・安定と不安定
ある空気を持ち上げた際に、その空気が上昇を続けるか、元の位置に戻るか
を言う。
簡単に言うと、上層ほど気温が低いと不安定。
乾燥断熱減率や湿潤断熱減率よりも観測した気温が大きく低下
していれば不安定ということになる。
(「一般気象学」の図を確認してください)
・逆転層
上層ほど温度が高い層。
安定的なので、上と下で空気の性質が異なる。
(朝、工場の煙突や窪地で野焼きしている煙を観察すると実感できます。)
・エマグラム
観測された気温の高度分布に、乾燥・湿潤断熱線や等飽和混合比線などを
加えた表。
大気の安定度や混合比、持ち上げ凝結高度、自由対流高度、雲頂高度・・・
いろんなことがこの表から判別できる。